イソップ寓話「ウサギとカメ」が伝えたいのは、本当に「努力」や「継続」だけなのでしょうか。
なぜ、カメは一度も休まなかったのだろう。
負けたウサギはそのあとどうしたんだろう。
考え方を変えると違う視点が見えてくる「新解釈 ウサギとカメ」です。
有名な「ウサギとカメ」のお話、後世に付け足された話が多いため、できるだけ原作に近い1867年の英訳版をもってきました。これをしっかり読み込んでみたいと思います。
ある日、ウサギはカメを、足が短くてのろまだとあざ笑いました。
カメは笑いながら答えました。
「確かに、あなたは風のように速い。でも競争すれば、私はあなたに勝ちます。」
ウサギは、そんなことは絶対に有り得ないことと、カメの挑戦を受けることにしました。
キツネが、コースとゴールの位置を決めることになり、二匹は合意しました。
約束の試合の日、二匹は同時にスタートしました。
カメは一度たりとも休むことなく、一歩一歩、ゆっくりと、着実にゴールに向かって進みました。
ウサギは、道端で横になると、一寝入りしました。
ようやく目を覚ましたウサギは、猛スピードで走りましたが、彼が見たのは、カメが既にゴールインしていて、疲れを癒し、気持ちよさそうに寝ているさまでした。
のろまでも、努力する者が競争に勝つのです。
The Hare and the Tortoise, イソップ寓話集 George Fyler Townsend の英訳版 (1867) より翻訳
ある日、ウサギはカメを、足が短くてのろまだとあざ笑いました。
なぜ、ウサギはカメをあざ笑ったのでしょうか。
相手を、足が短い、のろま、ダメなやつ、と先入観で思い込んでいました。
逆に、自分のことも、足が早い、優秀なやつ、と勘違いしている、とも言えます。
物事の一面だけ見て、隠れている面を見ないようにしていませんか。
例えば、「就活は怖い」とか「この会社は嫌だ」とか「自分には向いていない」とか「あの人は厳しいから嫌いだ」とか。
自分で自分の視野を狭めて、苦しくなっているだけかもしれませんよ。
ルービックキューブの大会では、観察時間が与えられ、攻略の鍵になると言います。
見方を変えて、ぐるっと見てみると、突破するルートが見えるかもしれません。
カメは笑いながら答えました。
なぜ、カメは笑っていたのでしょうか。
楽しかったから、ではありません。
腹を立てていても、ムカついていても、きわめて冷静です。
判断をつかさどる脳は、感情の影響を大きく受けます。
例えば「面倒くさいな、やりたくないな」という感情が浮かんでしまったら
「ふん、ふふふふーん」と鼻歌を歌ってみる
「ハーッハッハッハー」と狂言のように笑ってみる
脳は「あれ?これは楽しいことなのか?」と勘違いして本当に楽しくなると言います。
(*林成之「脳に悪い7つの習慣」幻冬舎新書)
就活中の先輩たちは、その街の美味しいものを食べた、とか、神社めぐり、御朱印集めを兼ねた、とか鬱々としないための自分なりの楽しみを見つけていました。
現実的で柔軟な捉え方で、笑い飛ばして脳をだますことで楽になります。
「確かに、あなたは風のように速い。でも競争すれば、私はあなたに勝ちます。」
なぜ、カメは感情的に反論しなかったのでしょうか。
「ヒドイことをいうね、ウサギとしてサイテー」と全否定をし返したり「僕は君が大嫌いだ」と感情的に応戦したりしたら、それこそ関係修復が出来ません。
まず相手の良い面を認め、その上で自分は劣っていないとはっきりと伝えています。
自分の感情や考えを上手に表現することが出来ているのです。
これは「アサーション」という手法です。
「アサーション」とは、自分の意見や考え、気持ち、要望などを、率直に正直に、自分も相手も尊重する意思を持って伝える自己表現のことです。
1950年代のアメリカで行動療法の一環として開発されたもので、1970年代に入ると、攻撃的にならずに強く主張する方法として人権回復運動を支えたといわれています。キング牧師の「I have a dream~」の演説が有名です。
(*菅沼憲治「改定新版 セルフ・アサーション・トレーニング」東京図書2013)
現在では、習慣や馴れ合いによって発生する社会的失敗を予防する対人関係スキルのトレーニングとして、医療や教育の現場で積極的に取り入れられている手法です。
カメはこの手法を使っているのです。
「勝つと思います」という予測でも「勝ちたいです」という願望でもない「勝ちます」という未来の表現に、カメの自信を感じます。
ウサギは、そんなことは絶対に有り得ないことと、カメの挑戦を受けることにしました。
なぜ、ウサギはカメの挑戦を受けたのでしょうか。
負けたくない、負けることは許さない、特にカメには負けたくない、と思ったのでしょう。
足が早い人もいれば、遅い人もいてあたり前なのに。
そんなところで競っても意味がない、いっそ二匹で協力してこの道を整備して地図に名を残さないか、と誘っていたら、二匹は英雄になっていたかもしれません。
提案を持ちかけたのはウサギだから、ウサギが先、「ウサギカメロード」…これも一つの勝ち方です。
「第一志望に入らなきゃ意味がない」とか「あいつには負けたくない」とか「恥ずかしい思いはしたくない」とか変なところにこだわっていたり、競ってしまったりしていませんか。
勝ち方は一つじゃないのです
キツネが、コースとゴールの位置を決めることになり、二匹は合意しました。
なんと。第三者が存在していたとは。初めて知りました。
そうなると、疑問が沸いてきます。本当にキツネは両者にフェアなコースとゴールを設定したのでしょうか。
ウサギにとって不利な長距離コースを設定する…
昼寝したくなるような木陰が中間地点にくるように…
カメが接待や裏金で買収したのではないか…
買収していなかったとしても、ウサギは森ではちょっと嫌われているから…
カメの寿命は万年だから付き合いが長くなるのは…と思惑があったのではないか…
なんて、裏の裏まで考えてしまいます。
理不尽、不条理、不都合…フェアじゃないことはある、かも。
コネや好み、えこひいき、忖度は存在する、と思っていた方が、戦略をたて攻略する甲斐があるというものです。
約束の試合の日、二匹は同時にスタートしました。
なんと。戦いはその日ではなかったとは。これも初めて知りました。
ウサギとカメが競争することに同意してから、実際に競争する当日まで何も書かれていない「空白の期間」が存在しているということです。
この間、ウサギとカメはどのように過ごしたのでしょうか。
もしかしたら、カメはコーチをつけていたかもしれません。
高慢なウサギのことですから、嘲笑は、一度や二度ではなかったはず。
一度言われて悔しい思いをしたカメは、コーチをつけてトレーニングを積み、ウサギの弱点を分析し、キツネを買収し、勝負をふっかける「その時」を虎視眈々と待っていたのかもしれません。
そう考えると、「勝ちます」と言った時のカメの、自信と不敵な笑み、納得が行きます。
一人で頑張れない時は、人の力を借りて良いのです
カメは一度たりとも休むことなく、一歩一歩、ゆっくりと、着実にゴールに向かって進みました。
なぜ、カメは一度も休まなかったのでしょうか。ここにウサギとカメの目標に大きな差があったことに気づきます。
カメは、ゴールにたどり着くこと、が目標であったのに対して、ウサギは、カメに勝つことが目標だったのです。
これは大きな差です。
顧客は誰か。目的は何か。目標は何か。理想は何か。という、ドラッガーのマネジメント理論のままです。
ウサギはカメを気にして、後ろを振り返り、カメのスピードを基準にして、自分の走りを変え、完全にゴールを見失ってしまいました。
この時のウサギの行動を見ていると、何となく大学入試の時は成績トップだったのに、入学後にパッとしない学生と重なります。
親が地元って言ったから、国立って言ったから、模試で無理って判定されたから、共通テストで失敗したから、滑り止めだったから…など学び舎にいる学生、ほぼ全員が、何かしらの不満足な要素を持っています。
不満足なままで生活を送ってすねていても、カッコイイわけではないし、悲劇のヒーロー、ヒロインを演じていても、時間が過ぎていくだけです。
周りに合わせず、ぶっちぎりのトップを狙って下さい。
あなたに期待してくれている顧客は誰ですか。
あなたの次の目標は何ですか。
キツネが、コースとゴールの位置を決めることになり、二匹は合意しました。
なんと。第三者が存在していたとは。初めて知りました。
そうなると、疑問が沸いてきます。本当にキツネは両者にフェアなコースとゴールを設定したのでしょうか。
ウサギにとって不利な長距離コースを設定する…
昼寝したくなるような木陰が中間地点にくるように…
カメが接待や裏金で買収したのではないか…
買収していなかったとしても、ウサギは森ではちょっと嫌われているから…
カメの寿命は万年だから付き合いが長くなるのは…と思惑があったのではないか…
なんて、裏の裏まで考えてしまいます。
理不尽、不条理、不都合…フェアじゃないことはある、かも。
コネや好み、えこひいき、忖度は存在する、と思っていた方が、戦略をたて攻略する甲斐があるというものです。
約束の試合の日、二匹は同時にスタートしました。
なんと。戦いはその日ではなかったとは。これも初めて知りました。
ウサギとカメが競争することに同意してから、実際に競争する当日まで何も書かれていない「空白の期間」が存在しているということです。
この間、ウサギとカメはどのように過ごしたのでしょうか。
もしかしたら、カメはコーチをつけていたかもしれません。
高慢なウサギのことですから、嘲笑は、一度や二度ではなかったはず。
一度言われて悔しい思いをしたカメは、コーチをつけてトレーニングを積み、ウサギの弱点を分析し、キツネを買収し、勝負をふっかける「その時」を虎視眈々と待っていたのかもしれません。
そう考えると、「勝ちます」と言った時のカメの、自信と不敵な笑み、納得が行きます。
一人で頑張れない時は、人の力を借りて良いのです
カメは一度たりとも休むことなく、一歩一歩、ゆっくりと、着実にゴールに向かって進みました。
なぜ、カメは一度も休まなかったのでしょうか。ここにウサギとカメの目標に大きな差があったことに気づきます。
カメは、ゴールにたどり着くこと、が目標であったのに対して、ウサギは、カメに勝つことが目標だったのです。
これは大きな差です。
顧客は誰か。目的は何か。目標は何か。理想は何か。という、ドラッガーのマネジメント理論のままです。
ウサギはカメを気にして、後ろを振り返り、カメのスピードを基準にして、自分の走りを変え、完全にゴールを見失ってしまいました。
この時のウサギの行動を見ていると、何となく大学入試の時は成績トップだったのに、入学後にパッとしない学生と重なります。
親が地元って言ったから、国立って言ったから、模試で無理って判定されたから、共通テストで失敗したから、滑り止めだったから…など学び舎にいる学生、ほぼ全員が、何かしらの不満足な要素を持っています。
不満足なままで生活を送ってすねていても、カッコイイわけではないし、悲劇のヒーロー、ヒロインを演じていても、時間が過ぎていくだけです。
周りに合わせず、ぶっちぎりのトップを狙って下さい。
あなたに期待してくれている顧客は誰ですか。
あなたの次の目標は何ですか。
ウサギは、道端で横になると、一寝入りしました。
なぜ、ウサギは途中で寝てしまったのでしょうか。眠くなったからです。油断や過信ではありません。ではなぜ眠くなったのでしょうか。
ウサギは猛ダッシュは得意ですが、長距離・長時間は走れません。自分に合う走り方をしなければ、疲労困憊、眠くなるのは当然。身体が持つ防衛本能です。
猛ダッシュが苦手なのに、一夜漬けしていませんか。ギリギリに出社していませんか。朝ごはん抜いていませんか。臨機応変に何とかしようとしていませんか。
自分に合う走り方と、時間とエネルギーの配分は。できるようになるまでには時間がかかります。
仕事や対人関係で合う、合わないの判断をする前に、パワー配分を見直してみませんか。
ようやく目を覚ましたウサギは、猛スピードで走りましたが、彼が見たのは、カメが既にゴールインしていて、疲れを癒し、気持ちよさそうに寝ているさまでした。
バカにしていたカメに負けたことが確定したあと、ウサギはどうしたと思いますか。「負けた、ミスした、人生詰んだ」と周りに言って回るのはまだ負けた自分を受けいれられない状態です。
落ち込んだり、悔んだり、誰かを憎んだりするのは簡単です。でも、今、目の前の負けは、人生の負けではありません。
もうカメに高慢なセリフを言わなくなった?リベンジを誓って、トレーニングを始めた?もしそうだとしたら、素晴らしい行動変容です。これができたらもう「勝者」です。
事実を事実として受け止め、「原因」と「対策」を考え「行動」に移すことが、結局は、自分の気持ちを正しく解放するのかもしれません。
大切なのは負けた後です。
のろまでも、努力する者が競争に勝つのです。
さて、この物語は大きな質問を投げかけています。努力とは?競争とは?勝つとは?
競争する、競う…勝つ、負ける…甲子園の決勝戦で戦った両チームのピッチャーのどちらがプロ野球選手として大成するかは、わからないように、壮大なテーマを投げかけています。
この勝負の後のカメのこころ、ウサギのこころ、想像できましたか。そして、あなたのこころは、どうですか。目の前の壁と、どう勝負しますか。
新解釈「ウサギとカメ」に学ぶ、視野を広め、視座を高める9の心得としてまとめます。
1.物事の一面だけでなく、隠れている面を見る。
よく観察してぐるっと見てみると突破するルートが見えるかも。
2.現実的で柔軟な捉え方で、笑い飛ばして脳をだます。
めんどうくさいことは鼻歌を歌いながらやると楽しくなる。
3.自分の感情や考えを上手に表現する。
相手も自分も尊重する。
4.勝ち方は一つじゃない。
こだわりが勝ちをせばめているかも。
5.理不尽、不条理、不都合…フェアじゃないことはある。
それを前提で戦略をたてる。
6.一人で頑張れない時は、人の力を借りて良い。
人の力を借りられるのも能力のうち。
7.顧客は誰か。目的は何か。目標は何か。理想は何か。
迷ったときに自分に問うおまじない。
8.合う合わないの問題か、パワー配分の問題か。
時間とエネルギーの配分ができるようになるには時間がかかる。
9.大切なのは負けたあと。
原因と対策を考え「行動」に移すことで気持ちを解放できる。
私の仕事は、就活生のミカタです。
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