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#それぞれの10年。あの年の就活。今年の就活。
 

人間失格
 
こんな特殊な時期でも就活をいつものように進めようということでしょうか!震災より仕事探しのほうが大切だという
ことでしょうか!まだ水も食べ物もなんでも不足な被害地の人々がいるので、そんな自分勝手な考え方は人間失格です
!この時期に仕事見つけても内定取り消しが出る可能性高いです。就活生である前に、人間であれ!
中国人より(ご本人がコメントされたペンネーム)
絶望に突き落とす、ようなこと書きますね。
 
絶望に突き落とす、ようなこと書きますね。
かける余裕あるなら・・・ 企業や学生にうったえて、助けてくださいよ 

2011年3月11日、大きな揺れを感じ、テレビで災害の大きさを知った後、
面接に向かっている就活生たちに、電話よりメールで企業に連絡するように一報を入れました。安否が確認できた
塾生たちから「どうしたらいいの」と質問を受けて、ブログに投稿した記事

就職活動-地震の対処-エントリーシートの〆切延期はないと思って全てに備えよう

に集まったのが、冒頭の非難の言葉たちでした。


ぐるぐる

今、思えば、確かに、説明が足りなかった部分があったことは否めません。

「ヤバい」「どうしょう」「面接どうなるの」
と不安がる就活生に、落ち着こう、と言いたかった

こんな嫌な思いをするなんて。いや、私の嫌な思いなんて、命の危険にさらされている状況とは比べ物にならない

自分は何をしているんだろう

企業への連絡の文面、送付状にいれる見舞い文例
など、私に出来ることをしたかった、それだけ

自分は何をすべきなんだろう

いや、行動したら、また気分の悪い言葉を浴びることになる
じゃあ、何もしないことが、心を寄せることになるの?

自分は何と無力なんだろう

自分に出来ることは、今までと変わらない
自分が出来ることをやることは、誰かを傷つけることになるの?

ぐるぐる。ぐるぐる。この繰り返しでした。 


採用するという選択

数日後、就活生に人気の大手インテリア雑貨の会社が、いち早く採用再開を宣言しました。
 
【東北地方太平洋沖地震への対応】
今回地震の影響による弊社採用における対応に関し、下記の通りご連絡申し上げます。

選考につきましては原則として予定通り執り行います。

ただし、一次試験以降の選考につきまして、今回の災害の影響により、選考ご応募の困難となった方につきましては、
後日、諸般の状況が復旧次第で結構ですが、お問合せを頂戴次第、個別に対応申し上げます。

災害による通信手段への影響で、締切を超過した書類に付きましても、事情を考慮し、受付を致します。
「被災」という言葉を使わず、

採用することが復興支援

そう言っているような、信念を感じるような力強い文章でした。
 


就活するという選択
同じ頃、ブログのアクセスが2桁違いで跳ね上がっていました。おそるおそる見てみると、

検索キーワードは、地震 お見舞い 送付状 文例…

企業に書類やメールを送る時に、一文添えた方がいいかな、と検索して来ているのです。「こういうの
何気に助かります。」と、就活生からのコメントもありました。

雑音にビビッて、ぐるぐる考え込み、動けなくなっていた私をよそに、就活生たちは、未来に視線を向けて走り出していたのです。


 
人間失格と言った人へのお返事
私は、人間失格のコメントに返事を書くことにしました。
はじめまして、中国人さん(注:ご本人が書いたペンネームです)
中国人さん・・・ご無事でよかったです。

中国人さんのおっしゃるとおり、水も食べ物もなんでも不足な被害地の人々がいらっしゃることよく知っています。
なぜなら、あなたが「自分勝手」で「人間失格」だといった私にも、まだ、連絡が取れない友人がいます。その友人は、
私が一生懸命仕事をする人間であることをよく知っているので、私は、その期待にこたえたいのです。

私の仕事は、企業に向かう学生を支援することです。

【東北地方太平洋沖地震への対応】=========
今回地震の影響による弊社採用における対応に関し、下記の通りご連絡申し上げます。

選考につきましては原則として予定通り執り行います。

ただし、一次試験以降の選考につきまして、今回の災害の影響により選考ご応募の困難となった方につきましては、後日、
諸般の状況が復旧次第で結構ですが、お問合せを頂戴次第、個別対応申し上げます。

災害による通信手段への影響で、締切を超過した書類に付きましても、事情を考慮し、受付を致します。
=========

という対応を、企業がしているならば、
就職活動できるようになった子から、順に支援をしていきます。
それが日本です。日本に住む人全員が、今、気持ちは一つです。

早く日常に戻ろう

と言う掛け声が、今にも折れそうな人の心を支え
復興への道しるべになるのです。
そのために、今、自分にできることをはじめています。

アルバイトしたお金を募金してきた人
買占めするお客さんに注意をする人
お見舞いの言葉をかける人
コンセントを抜く人
停電の過ごし方をブログにまとめる人
テレビ局も、報道する局、アニメを放送する局、ドラマを放送する局

一緒に泣いているだけじゃいけないと、
それぞれの役割をもって復興に向けての一歩を踏み出しています。

>この時期に仕事見つけても内定取り消しが出る可能性高い

なんて、日本の未来を担うべく心新たに仕事探しを始めた子たちに
いわないでください。
中国人さん、涙をこらえて頑張っている彼らの心を支えてやってください。
世界が見守っている日本人なのですから。 
 


10年後のコロナ禍で


あれから10年。
オリンピック景気が期待されていた採用市場は、一転、コロナで世界経済が停滞し、採用の縮小や見合わせなどが
相次ぎました。緊急事態宣言が出され、会社説明会やセミナー、グループディスカッションや面接もオンラインとなる、
異例づくめの就活です。

そんな中で、私を奮い立たせたのは、10年前に書いた「自分を人間失格といった人へお返事」でした。

「私の仕事は、企業に向かう学生を支援することです」 

この言葉が、私の心を支えました。
 
どんな状況でも、どんな時でも、就活生の時間は今しかない。
大局的に、客観的に、鳥瞰的に、今できることをやる。
雑音にビビッて立ち止まってはいけない。
 
これが10年前に私が学んだことなのです。

感染症拡大防止対策のため、一気に進むオンライン就活への対策を進めました。
塾生とやりとりするビデオ通話アプリケーションは、5種類まで増やしました。
大学のオンデマンド授業に対応するために、教材を音声化し、
パソコン持参のZoomの使い方講座も開催しました。 
 
 
就活メイク&髪型講座もZoomで開催しました。
今までは対面授業の中で、学生の中から2,3人をモデルに選んでやっていたのですが、
3台のカメラでこちらのメイクの仕方を中継し、Zoomの向こう側で学生たちは
自分のメイク道具を使って、見よう見まねで自分で再現します。

○○さん、眉をあと4ミリ長くしてー
○○さんはリップに赤を足して
○○さん、紅筆ないの?

など、個別にアドバイスができたので、Zoomの方が一人ひとりの満足度は高かったようです。
身なりを直したくても、触れることができず困っていた先生や職員さんも、
学生たちの印象が変わっていく様子に満足していただけたようです。

終わってみれば、10年前の就活と同じ。
前を向いて走ろうとする学生たちから刺激をもらい、新しいテクノロジーに挑戦していたのでした。


 
10年後を見つめる
東日本大震災の年に就活し、販売職として採用された学生から

「念願だった企画に異動しました」

と連絡をもらいました。
ホームページの先輩インタビューのページに紹介されていたのは、
私が知っている10年前の顔より、すこーし大人びて、貫禄のついた顔でした。
日本中が混乱したあの年の就活を踏ん張った学生たちが、10年後にたくましく働いています。

今年の就活、踏ん張った学生が、10年後にキラキラ輝けるように。
私の仕事は、就活生のミカタです。